“文章を苦手としない人間は手紙を書くことも億劫がらないので、社会人としての礼を失することもなかった。
最近『名言の内側』(木村尚三郎他著・ベネッセコーポレーション)という本で「礼は往来を尊ぶ」という言葉を知った。著者の一人が若い頃先輩より贈られた三つの教訓の一つとして紹介されていた。参考までに他の二つの教訓は第一は「待てば海路の日和あり」、第二は「負けるケンカはするな」。
「礼は往来を尊ぶ」の出典は中国の古典の『礼記』。礼には「施」と「報」、すなわち「往と来」が大切である。施されたらお返しをする。日常の小事について言えば「手紙にはかならず返事を書く」という社交の基本マナーもここに由来していると言う。
私は文章を苦手としたため手紙の類を書くことがほとんどなかった。そのため社会的な礼を失することも多くあり、人間としての信用を少なからず損なっていたのではないかと会社生活を終わる頃になってようやく気付いた。” – 「反面教師」木澤廉治/著







